嫌なことばかり思い出す脳を、日記で整える
動画をきっかけに、日記をつけてみたら
ある日、YouTubeで「一日を4つのカテゴリで振り返る日記術」という動画を見た。
内容はシンプルで、「よかったこと」「感謝したこと」「課題」を毎日書く、というもの。実践してよかったという声があったため、半信半疑ながらも試してみることにした。
正直、最初は「今日は嫌なことばかりだったな」と思いながら書き始めた。
でも、数日書き進めていくうちに、意外と、“よかったこと”や“感謝したこと”のほうが多いことに気付いた。
日記をつける前までは、毎日「嫌な日だった」と感じていたのに、
書いてみると、意外と悪い日ばかりじゃない。
この変化を、自分でも少し不思議に感じた。
どうして、書くだけで“感じ方”が変わるんだろう?
調べてみると、そこにはちゃんと脳科学と心理学の裏づけがあった。
なぜ「嫌なこと」ばかり思い出すのか
人の脳はもともと、ネガティブな情報を強く記憶するようにできているらしい。
これは「ネガティビティ・バイアス」と呼ばれ、進化的には危険回避のための仕組みだとされている。
嫌な出来事は、脳内でストレスホルモン(コルチゾール・ノルアドレナリン)が分泌され、
海馬と扁桃体の連携を強めることで、より“忘れにくい”記憶になる。
さらに、気分が落ちているときには「ムード一致記憶」といって、
今の感情と似た記憶が検索されやすくなる。
つまり、落ち込んでいるときほど“嫌な記憶”ばかり思い出してしまうのだそう。
そして、これを支えているのが「デフォルトモードネットワーク(DMN)」という脳内の回路だ。
DMNは、ぼんやりしているときや過去を思い出しているときに働く。
このネットワークが過剰に動くと、過去の嫌な場面を繰り返し再生する反芻(はんすう)が起きる。
一日の中にひとつでも強い“嫌な出来事”があると、
その記憶が心の中で“ピーク”になり、
「今日は嫌な日だった」と一日全体が上書きされてしまう(ピーク・エンド効果)。
日記を書くと、脳の“検索結果”が変わる
こうした脳の性質をそのまま放っておくと、どうしても日々が「嫌な日」で終わってしまう。
でも、日記を書くときにカテゴリを分けることで、脳の検索システムに別の道を作ることができるのだそうだ。
① 注意の再配分が起きる
「よかったこと」「感謝」を書こうとすると、自然とポジティブな出来事を思い出そうとする注意が働く。
心理学の研究でも、感謝やポジティブ体験に焦点を当てる「グラティチュード・ジャーナル(感謝日記)」が、幸福感を高め、ネガティブ思考を減らすことが示されている(Emmons & McCullough, 2003)。
② 言語化で扁桃体が落ち着く
感情に名前をつける「アフェクト・ラベリング」という手法では、感情を言葉にするだけで扁桃体の活動が抑えられることがfMRI研究で確認されている。
つまり、“怒り”や“不安”を文章にするだけで、脳が少し静まるのだそう。
③ 反芻を外に出して“閉じる”
書くことは「反芻」を頭の外に出す行為。
ペンベーカーの表出日記法(expressive writing)では、短時間(15〜20分程度)で自分の感情や出来事を書き出すことで、精神的ストレスが軽減する傾向があるとされている。
④ 「終わり」を自分で設計できる
「感謝」や「よかったこと」を書き出した日記で一日を終えると、脳は一日の“最後の印象”を穏やかに記録する。
ピーク・エンド効果の“エンド”を書き換える行為ともいえる。
まとめ
実際に私がやろうと決めたのは、後日談の動画の中で、「振り返って一番やってよかった」と語っている動画を見てからなのだが、一日一日記録をつけることでやっと全体の成長や自分の変化を見ることができるというのは、まさにその通りだと思う。
自己肯定感が低い方、少しでも気になった方は是非一度騙されたと思ってやってみてほしい。
